抜き打ち持ち物検査

個人情報を扱う企業としては

セキュリティを整備するなどのハード面と

従業員の意識付けのようなソフト面

どちらにも気を配らなくてはなりません。

そんな中、
抜き打ちで持ち物検査ができるかという話がありました。

会社で扱う個人情報と、
従業員の人権侵害、
どのようなバランスをとればいいのでしょうか。

持ち物検査が認められた判例によると、

持ち物検査は、その性質上、対象者の人権侵害のおそれを

ともなう問題であるから、

たとえ、検査が企業の経営・維持にとって必要かつ効果的なものであり、

他の同種の企業において多く行われているものであって、

また、労働基準法所定の手続きを経て、作成変更された就業規則に

基づいて行われ、

そのことを組合または従業員の過半数の同意があったとしても

当然に適法視されるものではないとしています。

では、適法となるにはどうしたらいいのでしょう???

所持品検査は

[1]それを必要とする合理的な理由に基づいて、

[2]一般的に妥当な方法と程度で、

[3]制度として職場従業員に対して画一的に実施され、

[4]就業規則その他の明示の根拠に基づいて行われるときは、

他にそれに代わるべき措置をとりうる余地が絶無ではないとしても適法となる


としています。

 また、かかる所持品検査が行われるときは、

従業員は、個別的な場合にその方法や程度が妥当性を欠く等、

特段の事情がない限り、検査を受忍すべき義務がある


としています

(西日本鉄道事件・最高裁第2小・昭4382判決・労判15234)。

とすると・・・

就業規則に根拠条文をさだめるのはもちろんのこと、

検査方法をマニュアル化して制度として明確にしておくことが必要に

なってきます。

たとえば、

対象者

検査する場所

検査する時間帯

検査対象物

検査方法

・かばんの中は、対象者本人が開示する(検査担当者は触れない)

・男性対象者は、男性が検査し、女性対象者は、女性が検査する

など、適正かつ公平な方法を定めて、

周知しておくことです。

従業員による個人情報漏洩は、
それが悪意のあるものであれば当然、
またうっかりミスであっても、
会社の存亡にかかわる
大事件です。

それを未然に防ぐために
就業規則を整備したり、
持ち物検査を行うことも
やむを得ないと思います。

しかし、
できることならば、
各従業員のモラルが向上し、
性悪説に基づいたしばりをかけなくても取り組める組織を

目指していきたいものです。


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